Vol.2 インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用

インサイドセールス導入時の検討事項と留意点

前回は、「果たしてインサイドセールスは日本で広まるのか?」について市場考察を述べさせて戴きました。結論としては、「今後日本でも確実にインサイドセールスは広まり、効果的にインサイドセールスを運用することが競合との差別化に繋がる」というものでした。

今回はより具体的に、インサイドセールスを導入する際の、検討事項などについてご説明いたします。

インサイドセールスは3つのタイプに大別される

まず、一言で「インサイドセールス」といっても、その役割に応じて大きく3つのタイプに分けることが出来ます。

  1. Team (分業モデル)
  2. Hybrid(協業モデル)
  3. Independent (独立モデル)

 

  1. Team (分業モデル)
    以下のように明確に分業する。
    ▶インサイドセールス:tooltip_1572_リードナーチャリング、及びヒアリングアポイント
    フィールドセールス:セリング・クロージング
  2. Hybrid(協業モデル)
    インサイドセールス担当者は主にtooltip_1572_リードナーチャリング、及びヒアリングアポイントを行うが、必要に応じセリング・クロージング(対面の訪問販売も含む)まで行う。
  3. Independent (独立モデル)
    インサイドセールス担当者がtooltip_1572_リードナーチャリング ~ セリング・クロージングまで一貫してリモートで行う。

インサイドセールスのタイプ別役割とメリット・デメリット


それぞれの特徴は上記の通りですが、各タイプがどんな組織に向いているのか?それはなぜか?これまでインサイドセールスを持ったことのない組織がゼロからインサイドセールス部隊を起ち上げる為にはどうしたら良いか?などについて以下で考察します。

どのタイプを導入すべきなのか?
会社を区別する切り口は業界、従業員数、売上等いくつもありますが、自社に適切なインサイドセールスのタイプを決める上では、特に(1)自社商品・サービスのタイプ、(2)ターゲット顧客の2点が重要になります。

まず、(1)自社の商品・サービスで言うと、低単価商品は「独立モデル」が適しています。これは、低単価≒薄利多売なので経営的に顧客獲得コストを掛けられず事業構造上、最も効率の良い独立モデルを採用せざるを得ない点と、低価格で購入ハードルが低いため、対面でなくともリモートで販売出来てしまうという点が背景にあります。

他方、大企業向けに販売する場合は低単価商品でも「企業の信用力」や「対面営業の商習慣」が重視されることが多いため、フィールドセールスじゃないとなかなかクロージングできません。

従って、低単価商品でも大企業向け販売は分業モデルにせざるを得ないというのが実情です(実際、幾つかのベンチャーは当初独立モデルで中小企業向けに販売していたものの、事業拡大と共に大企業向け販売が増え分業モデルに移行せざるを得無かったという例もあります)。

(2)顧客で言うと、新興企業や中小企業はリソースが限られている為、「効率性」が重視されるケースが多く、より合理的なリモート販売でも受け容れられる傾向にあります。

また、BtoC領域で言うと若年層は普段からECサイトを利用したり、インターネット上でコミュニケーションしたりすることも多く、バーチャルやリモートへの抵抗がないため、例え高単価だったとしても独立モデルは受け容れられます。

このように、自社が「(1)どんな商品」を「(2)誰に」売っているによって、どのタイプのインサイドセールスを導入すべきか決めることをお勧めします。


ゼロからインサイドセールス部隊を起ち上げるためには

上記表を見て「あれ協業モデルは?一部括弧書きで記載されているだけで、記載ないじゃん。」と思った方も多いかと思います。

協業モデルは、一部対面での訪問販売も含まれてしまうため、結局従来の労働集約的な営業と変わらず、「インサイドセールスチーム」という組織が一つ増えただけで実態としては何も変わらないという事態に陥りがちなので、あまりお勧めできません。

他方、いきなりインサイドセールスを導入して明確に分業したり、訪問販売を廃止したりすると社内外でハレーション(副作用)が起きます。

そこで、ゼロからインサイドセールス部隊を起ち上げる際は、まずは数名の営業担当をインサイドセールス担当としてアサインして②協業モデルを取り入れてから、①分業モデル、②独立モデルに移行してくというステップが望ましい導入プロセスです。

協業モデルは、あくまで「時限的な初期段階のステップ」であることに留意して、いつまでに①分業モデルか②独立モデルに移行させるか明確に期限を設けるようにしましょう。

また、導入当初に留意すべき点が2つあります。

1点目は、誰をインサイドセールス責任者として任命するかということ。答えは、トップ営業や経営層ともしっかり話のできる部長クラスの方です。

なぜかというと、既述の通りインサイドセールスは司令塔的な役割を果たす為、フィールドセールスやマーケティングにプレッシャーを掛ける必要があるからです。
ビズリーチ社 茂野氏のインタビュー記事も合わせて御覧ください

弱い立場の方をインサイドセールスにアサインしてしまうと、フィールドセールスもマーケティングもなかなか話を聞いてくれず、効果が出なくなってしまいます。

2点目は、最初は質にこだわり過ぎずに、とにかく量を追う(アポイント取得に注力する)ことです。「ん?それじゃあ、インサイドセールスを導入する意味が薄れちゃうんじゃないの?単なるテレアポになっちゃうじゃん。」と思われた方もいらっしゃると思います。

確かにご指摘の通りなのですが、インサイドセールスを導入しても最初は、なかなか成果が上がり難い(成約数、成約率が上がらない)のも事実です。

潤沢なアポイントフィールドセールスに供給できないと、インサイドセールスの立場は弱くなってしまいますので、最初はあまり質にこだわり過ぎずに(ヒアリングの質にこだわり過ぎずに)とにかくアポイント取得に注力するのことをお勧めします。

インサイドセールスが組織化されて、担当者もヒアリング~アポ取得に慣れて他部門と連携できるようになってきたら、6カ月~1年かけて徐々にヒアリングの質を上げていくというプロセスで問題ありません。焦らずに、地道にこつこつとインサイドセールスを創り上げていきましょう。

今回は、インサイドセールスの3つのタイプ(分業、協業、独立)と、それぞれどんな組織に適しているのか、導入時の留意点についてご説明しました。

次回は、導入後どうしたらインサイドセールスを効果的に運用できるかという点にフォーカスしてお話します。